ブログ 東京23区の民泊条例完全ガイド!民泊をやりやすい区はある?

コロナが終息して以降インバウンド需要が伸びを見せていますが、訪日客に人気がある宿泊スタイルのひとつが民泊です。
外国人も多く訪れる東京で、民泊を始めたいと考えている人も多いのではないでしょうか?
民泊をする際に重要になるのが、法律に加えて各地域が定めている条例です。
地域の条例によって民泊の難易度も異なるため、必ず条例を確認する必要があります。
そこで今回は、東京23区の民泊の上乗せ条例をまとめました。
東京で開業する予定の方は、ぜひチェックしておいてください。
目次
東京23区の民泊条例一覧
制限 | 近隣住民への周知 | 問い合わせ先 | |
千代田区 | 家主居住型もしくは管理者が常駐している→文教地区と学校周辺以外は制限なし駆けつけ要件を満たす場合→人口が密集していない地域では制限なし | 事業開始の前日までに書面などで通知 | 千代田保健所生活衛生課環境衛生係 |
中央区 | 週末のみ営業可能 | 届出の7日前までに周知 | 中央区保健所生活衛生課環境衛生担当 |
港区 | 家主居住型→制限なし家主不在型→一部エリアで制限あり | 届出の14日前までに書面で周知 | みなと保健所生活衛生課住宅宿泊事業担当 |
新宿区 | 住居専用地域→週末のみ営業可能 | 届出の7日前までに書面で周知 | 新宿区 健康部-衛生課(新宿区保健所)衛生課環境衛生係 |
文京区 | 制限区域→週末のみ営業可能 | 届出の15日前までに書面で周知 | 保健衛生部・文京保健所生活衛生課環境衛生担当 |
台東区 | 家主居住型→制限なし家主不在型→土日・祝日、年末年始のみ稼働可能 | 届出の15日前までに書面で周知 | 台東保健所 生活衛生課住宅宿泊事業担当 |
墨田区 | なし | 書面やポスティングでの周知 | 墨田区 福祉保健部 保健衛生担当 |
江東区 | 土曜日の午後〜日曜日のみ稼働可能 | 書面で通知 | 健康部(保健所) 生活衛生課 環境衛生係 |
品川区 | 制限区域→週末のみ稼働可能 | 書面で通知 | 保健所生活衛生課環境衛生担当 |
目黒区 | 平日は営業不可 | 届出の15日前までに書面で周知 | 生活衛生課 環境衛生係 |
大田区 | 制限区域→営業不可学校から100メートル以内→週末のみ稼働可能家主居住型→制限なし | 届出の2週間前までに書面で周知 | 生活衛生課 |
世田谷区 | 住居専用地域→平日は営業不可 | 書面で通知 | 世田谷保健所 生活保健課 環境衛生施設係 |
渋谷区 | 住居専用地域と文教地区→制限あり | 届出の7日前までに対面または書面で通知 | 生活衛生課環境衛生係 |
中野区 | 制限区域→金曜日から日曜日・祝日のみ稼働可 | 届出の7日前までに書面などで周知 | 中野区保健所 医薬環境衛生係 |
杉並区 | 家主居住型→制限なし家主不在型→住居専用地域では制限あり | 書面などで周知 | 杉並保健所生活衛生課環境衛生担当 |
豊島区 | なし | 届出の7日前までに書面などで周知 | 保健福祉部(池袋保健所)生活衛生課環境衛生グループ |
北区 | なし | 書面などで周知 | 北区保健所生活衛生課環境衛生係 |
荒川区 | 土日のみ稼働可 | 届出の7日前までに書面で周知 | 健康部生活衛生課環境衛生係 |
板橋区 | 住居専用地域→金曜日の午後〜日曜日と祝日のみ稼働可 | 書面などで周知 | 健康生きがい部 生活衛生課 環境衛生施設係 |
練馬区 | 住居専用地域→金曜日の午後〜日曜日と祝日のみ稼働可 | 届出の15日前までに書面などで周知 | 健康部 生活衛生課 環境衛生監視担当係 |
足立区 | 住居専用地域→金曜日の午後〜月曜日の午前中と祝日のみ稼働可 | 届出の7日前までに書面などで周知 | 足立保健所生活衛生課生活衛生係 |
葛飾区 | なし | 書面などで周知 | 生活衛生課環境衛生担当係 |
江戸川区 | なし | 書面やポスティングでの周知 | 江戸川区保健所生活衛生課環境衛生係 |
東京23区の民泊の詳しい上乗せ条例
23区それぞれの条例の詳細について解説していきます。
詳しい制限を比較しながら、どの区で民泊をスタートするかを決めていきましょう。
千代田区
千代田区は、営業スタイルとエリアによって制限が異なります。
文教地区と学校周辺 | 人口密集区域 | それ以外の区域 | |
家主居住型・家主不在型で管理者が常駐している | 月曜日〜金曜日は営業可 | 制限なし | 制限なし |
家主不在型(管理者が駆け付ける場合) | 不可 | 月曜日〜金曜日は営業可 | 制限なし |
できるだけ稼働させたい場合は、家主居住型にするか管理者が常駐しているスタイルでの運営がおすすめです。
駆けつけ要件を満たせない場合は営業ができないので、注意しましょう。
中央区
中央区はマンションをはじめとした居住エリアが多いことを考慮し、民泊ができるのは週末のみに限られています。
また、届出を提出する7日前までに、書面や説明会を通して住民に周知を行うように定められています。
ゲストが滞在する際にトラブルが起きないよう、騒音やゴミ出しなどについてのルールを対面で説明する必要もあるため、中央区のゴミ出しのルールについても確認しておきましょう。
港区
港区は家主居住型で営業する場合は、制限なく運営ができます。
一方、住居専用地区と文教地区が制限区域となっており、この区域で家主不在型に該当する場合は、以下の期間は運営できません。
- 1月11日の正午〜3月20日の正午まで
- 4月11日の正午〜7月10日の正午まで
- 9月1日の正午〜12月20日の正午まで
制限はあるものの、夏休みや冬休みに該当する時期は稼働できます。
期間にとらわれずに稼働したいのであれば、制限区域外での民泊がおすすめです。
新宿区
新宿区は、住居専用地域では稼働できるのが週末に限られていますが、それ以外のエリアでは制限なく民泊ができます。
そのため、制限がないエリアでは営業形態を問わずに稼働できるのです。
注意点として、民泊で出たゴミは「事業系ゴミ」として扱われ、事業者および管理業者が処理するよう定められています。
ゲストにゴミ出しはさせずに、ホストか委託先の業者が行うようにしましょう。
文京区
文京区では、以下の4つのエリアを制限区域と定め、月曜日から金曜日の午後までは民泊の実施を制限しています。
制限区域:住居専用地域・住居地域・準工業地域・文教地区
制限区域に当てはまらないエリアでは、制限なしで営業できます。
近所の住民に対する通知は届出をする15日前までに行わなければいけないので、しっかり計画を立てて進めていくことが大切です。
台東区
台東区では、家主居住型か管理者を常駐させている場合は、180日以内で自由に営業が可能です。
家主不在型は土日・祝日と年末年始しか稼働できないため、稼働率アップを目指すのであれば、自分がオーナーとなって家の一部を貸し出すか管理者を常駐させておきましょう。
駆けつけ要件の時間は地域によって差がありますが、台東区は30分以内と定められています。
墨田区
墨田区には上乗せ条例がありません。民泊新法に乗っ取った届出を行うことで、180日以内で自由に民泊ができます。
墨田区は両国エリアやスカイツリーなど観光スポットが多いため、高い宿泊需要が期待できるでしょう。
ゴミの処理に関しては、届出をする前にすみだ清掃事務所に相談をして内容を記録・作成することが定められているので、忘れずに行ってください。
江東区
江東区では、土曜日の午後から日曜日までのみ稼働できます。ただし、祝日がある場合は、当日の午後から翌日の正午まで営業可能です。
周辺住民へ説明をする際は、周知報告書に加えて、周知をした住民の名簿も提出しなければいけません。
また、2ヶ月ごとに宿泊実績を報告するのも忘れないように気を付けましょう。
品川区
品川区は、近隣商業地域と商業地域では制限を受けずに営業ができます。それ以外のエリアでは、平日は稼働できません。
緊急時の駆けつけ要件は30分以内が目安となっているため、何か起こった際に30分で駆けつけられるか、また交通状況などによって時間がかかる場合でも1時間以内に来られるかの確認は必ず行うことが重要です。
品川区はビジネス目的で訪れる人も多いため、制限がないエリアで民泊をすれば高い稼働率も狙えるでしょう。
目黒区
目黒区は、区内全体で稼働できるのが実質金曜日土曜日のみと、少し条件が厳しい区となっています。
民泊で気を付けるべきなのが近隣住民への対応ですが、目黒区では苦情や問い合わせの内容、行った対応についての記録を3年保存しておくことが必須です。
大田区
大田区では、住居専用地域や工業地域などの地域では民泊が認められていません。
また、物件が小中学校から100メートル以内にある場合は、週末しか稼働できなくなるため注意しましょう。
一方で、家主居住型は原則として自由に運営が可能です。
駆けつけ要件は原則10分以内と規定があるため、前もって体制を整えておくことが大切です。
世田谷区
世田谷区では、住居専用地域では平日は民泊が実施できませんが、祝日は当日の正午から翌日の午前中まで稼働できます。
住居専用地域以外では、180日ルールの範囲内で運営が可能なため、世田谷区で開業したい場合は制限がないエリアを選ぶのがおすすめです。
民泊はゲストは外国人も多いことから、設備の使い方や周辺の施設へのアクセス方法などを外国語でも掲載しておくことが重要です。
渋谷区
渋谷区では、住居専用地域と文教地区において、以下の期間に制限がかけられています。
- 4月5日〜7月20日
- 8月29日〜10月の第2月曜日の前の週の水曜日
- 10月の第2月曜日の前の週の土曜日から12月25日
- 1月7日〜3月25日
制限があるエリアでも、要件を満たして苦情などに速やかに対応できると判断されれば、通常通り180日以内での運営ができるケースもあります。
中野区
中野区では、第一種低層住居専用地域を始めとする制限区域は金曜日・土曜日・日曜日と祝日のみ民泊が行えます。
ただし、家主居住型であれば、一定の条件に従うことで平日でも稼働できるようになるので、ホームステイ型を検討してみるのもおすすめです。
また、中野区でも苦情や問い合わせがあった際の内容や対応を3年間保存しなければいけません。
杉並区
杉並区で家主不在型で民泊をする場合、住居専用地域においては週末しか稼働できません。
ホームステイ型(家主居住型)に制限はないため、平日も運営したいのであれば家主居住型での開業が良いでしょう。
喫煙やゴミ出しについては外国人にもわかるよう説明をすること、また標識を見やすい場所に掲示しておくこともガイドラインで定められています。
豊島区
豊島区には上乗せ条例がないため、180日を上限に自由に稼働できます。
ただし、物件までに30分以内で駆けつけられるよう定められているので、必ず満たせるようにしておきましょう。
また、ゲストへの鍵の受け渡しは対面で行う必要があります。
アニメの聖地として知られる池袋は、各方面へのアクセスが便利なため、高い宿泊需要が期待できます。
北区
北区も上乗せ条例がない区のひとつです。
届出の際は、オンラインで行うか窓口で申請する、もしくは電子と紙の両方で行うことも可能です。
審査にかかる時間は閉庁日を除く14日間と記載されています。
北区は新宿駅や池袋駅までのアクセスが良く、落ち着いた雰囲気が特徴なので、ファミリー層をターゲットにした民泊もおすすめです。
荒川区
荒川区では、民泊ができるのが土曜日・日曜日と祝日のみとなっています。
また、ホストもしくは管理業者は、運営する物件のおおむね1km以内に常駐することが必須です。そのため、もし委託する場合は、1km圏内で常駐ができる管理業者を探しましょう。
代替措置はないため、必ず遵守することが求められます。
板橋区
板橋区では、制限区域の住居専用地域は、金曜日の午後から日曜日と祝日の前後が実施可能となっています。
その他のエリアでは、180日以内での自由な運営が可能です。
また、制限エリア内であっても、家主居住型であるかトラブルや苦情に速やかに対応できる場合は、制限なしで民泊ができる可能性もあります。
練馬区
練馬区では住居専用地域が制限エリアとされており、金曜日から日曜日と祝日以外は民泊が認められていません。その他の地域では、制限なしで稼働できます。
届出の前に住民に対して説明会を行う場合は、実施の1週間前までに知らせなければいけません。
事前周知も届出の15日前までに行う必要があるので、余裕を持って準備を進めていきましょう。
足立区
足立区では、住居専用地域で以下のような制限があります。
- 稼働できるのは金曜日の午後から月曜日の午前中までと祝日
- 12月31日の午後から1月3日の正午までは稼働不可
制限エリアでは年末年始も稼働できないため、それ以外の地域で運営をして稼働率アップを
目指すと良いでしょう。
葛飾区
葛飾区は独自の制限がないため、民泊新法のルールに乗っ取って民泊の運営が可能です。
東京スカイツリーや浅草などへのアクセスが良く、成田空港へも乗り換えなしで行けることから、東京旅行の滞在先として便利なエリアと言えるでしょう。
届出が完了したら、窓口で届出済証明と標識を受け取って事業を開始できます。
江戸川区
江戸川区にも独自の条例はないので、民泊がやりやすいです。
また、ホストや管理業者は江戸川区が行う講習会に参加することが求められています。
民泊運営のノウハウを学べるほか、事業者同士の交流の輪を広げる機会にもなるため、有効に活用できるでしょう。
東京で民泊をやるメリットとデメリット
人気観光地である東京で民泊をすることは、メリットも多いですが、デメリットもあることを理解するのが大切です。
ここでは、東京での民泊についてのメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
メリットは、やはり観光地としての人気が高いことです。
常に観光の需要がある
東京は、旅行先として常に人気があります。
最先端のファッションやグルメ、ポップカルチャーを楽しめるだけでなく、美術館や下町情緒を感じられるスポットも多く、エリアごとに違った雰囲気を楽しめるのも魅力です。
一度に限らず何度も訪れたくなる東京は、常に宿泊施設の需要があるため、高い稼働率を期待できるでしょう。
訪日客にも人気
日本を旅行する訪日客にとっても、東京は非常に人気です。
2023年の7〜9月に東京を訪れた外国人は、コロナ前を上回る547万人でした。(参考:日本経済新聞)
日本の伝統から最新のカルチャーまで体験できるのはもちろん、電車での移動が便利なことや治安が良いことも人気の理由です。
民泊は外国人に人気の宿泊スタイルなので、外国人に特化したマーケティングを行うのも方法のひとつです。
デメリット
一方で、開業するにあたって理解しておくべきデメリットもあります。
競合が多い
旅行先として人気の高い東京では、どうしても競合が多くなってしまいます。
競合が多いとOTAでも埋もれてしまい、運営当初は中々集客ができない可能性も高いです。
そのため、立地の良さや内装のおしゃれさなど、他の物件との差別化を図ることが重要なポイントになります。
また、宿泊料金も安すぎず高すぎず、競合をリサーチしながら設定することが大切です。
都市部は家賃が高い
東京は他の都道府県に比べて家賃が高いです。中でも都心である千代田区や中央区は、さらに家賃が高い傾向にあります。
家賃が高い割に部屋が狭い物件も多いため、賃貸物件で民泊をしたい方は、毎月の家賃を払って利益が出るかどうかのシミュレーションを必ず行いましょう。
地域の条例によってはあまり稼働できない
先述した上乗せ条例がある通り、立地やアクセスの良さから希望のエリアがあったとしても、区の条例によっては週末しか稼働できない場合もあります。
ルールが厳しく決められているところもあれば比較的運営しやすい区もあるので、まずは候補のエリアをいくつか決めてそれぞれの条例を比較してみるのがおすすめです。
項目別に見る東京で民泊がやりやすい街
では、以下の3つの項目に分けて東京で民泊がやりやすい街を見てみましょう。
- 上乗せ条例の有無
- 家賃
- 観光地としての人気
エリアを決める際の参考にしてみてください。
制限がない区
地域の条例に縛られずに民泊がしたい人は、制限のない区から選んでみましょう
東京都で上乗せ条例での制限がない区は、以下の5区です。
- 墨田区
- 葛飾区
- 江戸川区
- 北区
- 豊島区
上記のエリアでは、民泊新法の規定である180日以内で平日や週末に関係なく運営ができます。
駅や観光地から近い場所であれば、予約率アップも目指せるでしょう。
家賃が比較的安い区
利益を確保するために、家賃が安い区を選んで運営する方法もあります。
以下は、23区の中でも家賃が比較的安い区です。
- 練馬区
- 板橋区
- 葛飾区
- 江戸川区
- 足立区
駅や築年数にも寄りますが、上記の5つは平均で5万円代前半〜6万円が相場となっています。
特に江戸川区や葛飾区は上乗せ条例もないため、費用をおさえて民泊を始めやすいでしょう。
観光客が多い区
人気観光地の周辺だと宿泊の需要も高くなるため、観光客の多い場所で民泊をやるのもおすすめです。
例えば、東京で外国人に人気のスポットは以下の通りです。(出典:訪日ラボ)
1位:渋谷(渋谷区)
2位:新宿・大久保(新宿区)
3位:銀座(中央区)
4位:東京駅周辺・丸の内・日本橋(千代田区)
5位:浅草(台東区)
上位5つの区はいずれも上乗せ条例がありますが、渋谷区や新宿区は、制限エリアを避ければ自由に稼働できます。
また、千代田区や台東区は条件を満たせば180日以内で営業できるため、チャンスは十分にあるでしょう。
まとめ
東京23区では、各区が独自に定めている条例があります。
そのため、民泊を始める際は、まずそれぞれの地域の条例について調べることが必須です。
条例の有無でエリアを決めるのも良いですが、家賃や観光地としての人気度でもやりやすさは変わってきます。
色々なエリアを比較しながら、ベストな区を選んでいってください。